法人版事業承継税制の制度は、中小企業の経営者の高齢化問題、廃業の増加に伴う雇用の喪失問題等を背景として平成21年度税制改正により導入された制度ですが、その利用はほとんど進んでいませんでした。
この状況を踏まえ、平成30年度の税制改正では10年間の特例制度として「特例事業承継税制」が創設されました。創設時は特例承継計画の提出期限は令和5年3月31日まででしたが、コロナ禍で売上が減少したことにより企業が事業承継を後ろ倒しにする背景があり、円滑な事業承継を実施するために、令和4年度税制改正では提出期限が令和6年3月31日までに延長されました。
(「特例事業承継税制」の概要)
(1) 自社の株式を後継者に贈与する際の贈与税が全額納税猶予されます。
(2) 納税猶予された贈与税額は、一定条件のもとで最終的に免除されます。
(3) 経営者以外の株主からの贈与も納税猶予の対象にできます。
(4) 後継者を1人に限定せず、2人~3人でも対象にできます。
(5) 令和9年12月31日までに相続が発生した場合でも、「特例承継計画」の確認を受けていれば
後継者が相続する自社株式に係る相続税が全額納税猶予されます。
「特例事業承継税制」の適用を受けるためには、認定経営革新等支援機関の指導や助言を受けて「特例承継計画」を令和6年3月31日までに都道府県に提出する必要があります。
投稿者:辻
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