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コロナでわかった「社会システムの転換の必要性」

 

 

 我が国は、阪神、東北、熊本の大災害を経験しました。そのたびに諸外国から称賛されたのが、略奪などなく、お互いに助け合う国民の民意度の高さです。それに比べ、今回のコロナへの対策は、後手、後手の一方で、ワクチンの年内接種はあきらめています。

 「国民一流、政治は三流」と揶揄されますが、今に始まったことではないようです。

オリックスの創業者である宮内義彦氏によると、

 

1.政治決断の遅れが被害拡大

 人生で最も大きかった出来事は第2次世界大戦だ。3年8カ月の太平洋戦争で日本の大都市、工業生産力は徹底的に破壊され、日本人310万人の人命と全ての海外領土を失った。それに加えて悲惨だったのは負けに至るまでの過程で、誰がみても敗北しているにもかかわらず、時間のが経過し、この間に多くの物量や人命を失った。日本は政治決断のできにくいシステムの国になっていたのだ。

 

2.戦後復興で変わった日本 

 敗戦後の復興過程では、日本人は我慢を重ねて働きに働き、元の経済力に帰るまで10年の年月を要した。しかし「元の姿」になったわけではなく、1956年の日本はこれまでとはすっかり違う新しい社会を作っていた。物事は決して循環せず、新しい社会システムへと新しい方向性が生まれ、それに向かって動いていった。

 

3.長引くバブル崩壊の傷痕

 次の大きな経済変動は日本のバブル崩壊で、日本経済は「失われた20年余」へと移行し、世界の競争からの転落は尾を引き、次なる方向性も示すことなく今日に至った。

財政支出のほかに社会システムの大きな変更はなく、既得権益の擁護に終始し、現在の日本経済はこうした流れの上にあり、世界の潮流をリードしているとは言えない

 

4.政府は全力で経済対策を

 新型コロナ禍の影響は、日本にとってはバブル崩壊かそれ以上の変化をもたらすことになるだろう。終焉後の社会はなかなか想像しにくいものの、新しい景色になっているだろう。この新しい景色は日本にとって好ましく、前向きで明るいものでなければならない

 

5.日本の敗戦、バブル崩壊後の痛手からの教訓

 今、渦中で直ちに考え、対策を打っておかねばならないことは、全ての困難が収束したときの社会状況を想像することだ。新型コロナに打ちのめされ、社会も経済も大きなダメージを受け、元の姿にかえるのに10年もかかるようでは、日本はさらに世界から取り残されてしまう。そうなってはいけないのだ。

 

「参考 日本経済新聞(2020年5月29日)」を要約

 

  日経新聞によると、海外から入国しても、自宅での待機要請などに従わない人は1日300人に及ぶそうです。「水際対策」の甘さから変異型が広まっているのに、厚生労働省は「移動の自由」を記す憲法の制約を理由に厳しい措置に慎重とのことです。冗談でしょう?

  医療崩壊が始まって、自宅待機で何人もの死者が出ているのに、「小田原評定」している場合か? 責任をとる気概がある政治家でてこんかい!

まさに「政治決断ができにくいシステム」が、いまも続いているのか?

マスコミは、どこの市長がワクチンを先に打った等のゴシップニュースより、根幹にかかわる問題を真正面に取り上げてほしい。「水際対策」が万全だった台湾でも、特例扱いのパイロットから変異型が広がったのだから。

 一流である我が国民は、三密を避け、マスク、消毒で感染防止を淡々としているんだぞ。