年金払い生保 ちょっと待って!プレイバック!
生命保険金を遺族が年金として分割で受け取る場合に、相続税と所得税の両方が課されるのは違法として、長崎市の女性が所得税の課税処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は「二重課税に当たり、違法」との初判断を示し、国側の逆転敗訴が確定しました。
1. 事実関係
女性の夫は、総額2300万円の保険金を10年間に分け、毎年230万円ずつ受け取る特約付きの生命保険を契約していました。その後、02年に夫が死亡し、「毎年230万円を10年間にわたって年金形式で受け取る権利(以下「年金受給権」)」を取得したので、総額2300万円の6割を相続財産として相続税を申告しました。ところが、年金形式で受け取った1回目の年金230万円に対し約22万円の所得税が源泉徴収されたので国税不服審判所に不服を申し立てたが認められず、05年8月に提訴しました。
2. 原告(女性)の主張
この「年金形式で受け取った現金」に対し、相続税に加えて所得税が課せられたため、「相続財産に所得税は課せないと規定した所得税法に反する」と主張しました。
3. 国の主張
相続税の課税対象は「年金受給権」であり、「年金形式で受け取った現金」は法的には異なる財産であり、所得税を課しても許されると主張しました。
4. 最高裁の判決
相続税の対象となる 「年金受給権」と、実際に「年金形式で受け取った現金」とは経済的に同一のもので、所得税を課すことは許されないとしたうえで「原告は国税当局に所得税の還付を求めることができる」と判決を下しました。
5. ちょっと待って!プレイバック!
(1) 二重課税の部分とそうでないところがある。
TVニュースを見たときに、二重課税の違法性がセンセーショナルに報道されましたが、判決ではすべて二重課税だといっているのではなく、年金総額2300万円のうち約6割の1380万円が「年金受給権」として相続税の対象となり、残りの920万円については二重課税に当たらないと判断しました。
(2) 運用益分には、従来どおり所得税が課税。
年金のうち元本部分は二重課税、4割分の920万円と運用益部分は所得税が課税される見込みです。
(3) 税理士の本分
この女性が相続税の申告を頼んだ江崎鶴男税理士が、この取扱に疑問を感じたことが出発点だそうですが、勝訴しても25,000円が戻るだけ、7年にも及び裁判などの期間、裁判費用、税務勝訴割合等考えると、私なら妥協していたでしょう。しかも、元本部分は相続税か所得税のどちらかで課税されるという刷り込みで、今まで疑問に思っていませんでした。猛反省!!