ビジョンと危機管理
今日、独禁法違反容疑で使い捨てコンタクトレンズ最大手「ジョンソン・エンド・ジョンソン」に立ち入りがあったとのニュースがありました。小売店に人気商品の価格を広告に載せないことを条件(拘束条件付き取引)としたことで、適正な価格競争を制限している疑いがあるからです。価格を維持する狙いから、価格を明示しないことを条件として、他社製品と比較されにくく、自由な値引き競争をしづらくしたのです。
ジョンソン&ジョンソンに立ち入り=価格維持のため、広告規制-公取委
コンタクトレンズの価格下落を防ぐため、小売店に人気商品の価格を広告に載せないよう強制していたとして、公正取引委員会は30日、コンタクトレンズメーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン(東京都千代田区)に独禁法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り検査した。立ち入り先は本店や支店、営業所など約10カ所に上るとみられる。
関係者によると、ジョンソン社は昨年秋ごろから、同社が販売する使い捨てコンタクトレンズ「ワンデーアキュビューモイスト」などの商品について、量販店などに対し、雑誌や新聞に掲載する広告やホームページ上で、商品価格を明記しないよう強制していた疑いが持たれている。(2010/03/30-12:15)
「ジョンソン・エンド・ジョンソン」といえば、1982年の「タイレノール殺人事件」の危機管理対応が有名です。
1982年に米国で何者かに毒物を混入されたタイレノール(頭痛薬)が売られ、7人が死亡するという事件が起こった時、ジョンソン・エンド・ジョンソンは直ちに、全米のすべてのタイレノールを回収し、それまでのカプセルから異物を混入できないタブレット(錠剤)に変更したそうです。
この話は、危機管理対応の模範となっています。
そのときに、模倣犯が、同じ頭痛薬を扱っているメーカーにも同様な犯行をしましたが、そのメーカーは事件があった地域だけ商品を回収しましました。
結果として、全米から回収したジョンソン・エンド・ジョンソンのタイレノールの売上が伸びたそうです。消費者が、「自分たちを守ってくれる会社」として支持した証明です。
ジョンソン・エンド・ジョンソンには、守るべき対象の優先順位があり、一番目は「お客様」、二番目は「従業員」、三番目は「地域社会」、四番目が「株主」となっているそうです。その順番から言ってもお客様を守るのは当然となっていたのです。
また、会社の存在意義として「自社の医薬品を通じて世界で病気で苦しんでいる人の苦痛を和らげる」というビジョン(経営哲学)があり、社内に徹底されていました。
自社の商品を買って苦しんでいる人をみて、どうすれば解消できるかを考えたときに、自社商品を引き上げることが一番いい方法だと結論が出たそうです。
緊急時のマニュアルが存在しなかったにもかかわらず、結論が簡単に出て迅速な対応ができたのはこのためです。
この事件は危機管理における対応策の定石として認識されています。
今回の事件は、「ジョンソン・エンド・ジョンソン」の日本法人が引き起こしましたが、今後会社はどう対応するの見守りましょう。
また、会社の「経営理念」と「社員の行動基準に至るまでの徹底」が如何に大事かを教えてくれる教訓です。
