消費税 レンジでチンすると10%?
あれほど盛り上がった消費税の増税論は選挙戦が始まると同時にトーンダウンしちゃいましたね。
増税の条件となった軽減税率や給付付き税額控除も世間に浸透する前に、うやむやになった感がありますので、今日はこの2つについて簡単に書きたいと思います。
軽減税率
欧米で広く導入されている制度で、主に食料品などの税率をゼロにしたり低く抑えたりする制度です。消費者はレジで提示された金額を払うだけになります。 一方、事業者は標準税率と軽減税率を区別する手間がありますが、それ以前に食料品か否かの線引きが大変な作業となります。
例えば、イギリスやフランスでは、飲食店などの店内で食べるものは単なる食料品の販売でなくサービスも含まれるため標準税率の対象になりますが、テイクアウトは食料品の販売とされ軽減税率の対象になります。さらにイギリスでは、同じテイクアウトでも暖かい食べ物はその場で食べることできるとして標準税率が適用されます。もし日本でイギリス方式が導入されると、コンビニでお弁当を買う時に店員さんの「暖めますか?」の言葉に応じるか否かで支払金額が変わってくるのです。
このほかにも様々な要因があるため導入前には各産業団体との調整が必要となり、発言力の大きい業界に有利に働くという恐れもあります。
給付付き税額控除
諸外国では一般的な軽減税率ですが、上記の税務行政上の効率の問題や、そもそもの導入目的である「税の逆進性の緩和」の観点からも効果が少ないと理解されていることも、また一般的であるようです。そこで軽減税率の代替案として有力視されているものが消費税における給付付き税額控除と言われています。
諸外国では給付付き税額控除は所得税について多く導入されています。簡単な例で言うと、所得税が10万円で住宅ローン控除の限度額が15万円ある人がいるとします。この場合、現行の税制では差額の5万円は切捨てとなりますが、給付付き税額控除制度では引ききれない5万円は給付という形で銀行口座に振り込まれることになります。
実は私がニュースで給付付き税額控除の話を聞いた時、てっきり所得税の話だと思っていましたが、どうやら消費税でこれをやるらしいと知ったときは、う~んと考えたものでした。
というのも、消費税で給付付き税額控除を実際に導入している国は私には記憶になく、調べてみるとカナダとシンガポールぐらいの馴染みの無いものだったからです。ちなみにカナダの場合、家族の人員構成と所得に応じて給付額が決定します。夫婦に18歳以下の子供が1人いるケースでは最大626カナダドル(日本円で約54,000円)になります。民主党の枝野幹事長の「(増税分の)5%は返す」や玄葉政調会長の「1年間の生活必需品に掛かった消費税分をきちんと還付する」の発言に比べるとかなり控えめな金額になりますね。「きちんと還付する」にはひとりひとりの消費者が1年分のレシートを集めて・集計して・確定申告する必要するがあり、とても現実的とは言えませんので、給付額はさておき導入するならカナダ方式になるでしょう。
軽減税率にしろ、給付付き税額控除にしろ、インボイスや納税者番号制度の導入は不可欠で、実施には相当の準備期間が必要になると思われます。
私の予想では税率の微増のみで現行制度維持に落ち着き、軽減税率等は先送りになるのではないのかなぁと。選挙が終わると6.25%、7.5%、8.75%といった端数が新聞紙面を飾るかもしれませんよ。ではでは。
参考文献
髙田 具視 「食料品等に対する軽減税率の導入問題」 税大論叢46号
国立国会図書館財政金融課 「諸外国の給付付き税額控除の概要」 調査と情報第678号
全国間税会総連合会 「第14次海外税制視察」
