税務Q&A

2つの税制調査会

 野田政権になって、復興増税案が、内閣総理大臣の諮問機関である政府税制調査会(以下「政府税調」)から発表されたとたんに、民主党税制調査会(以下「民主税調」)がちょっと待って!といっている報道がありました。我が国は、2つの税制調査会があり、わかりづらいですよね。

 もともと、自由民主党政権時代は政府・与党の中に2つの税制調査会があり、まず政府税調が大枠の方針を決め、最も大切な税率などの数字は、自民党税調が決定していたので、「党高政低」といわれていました。

そして、鳩山内閣誕生後、政府と与党の税制調査会を廃止し、新たに政治家をメンバーとする政府税制調査会を設置して一元化されました。しかし、今回の野田内閣では民主党税制調査会が復活したのです。

政府税調は、財務省が事務方にいるので、政府として現実味のある税制改正案を提案します。それに対して、民主税調は、党の意向も反映させるべき案を要求してきます。
早速ですが、

「民主党税制調査会の藤井裕久会長は18日、東日本大震災からの復興財源に充てる臨時増税について、政府税制調査会がまとめた増税案の税目以外も検討する考えを示した。2011年度税制改正で積み残しになっている相続税増税や地球温暖化対策税などを財源に充てる案について、都内で記者団に「党税調は政府に対するチェック機関だ。あり得る」と述べた。」(日本経済新聞)

とありました。
2つの税制調査会を、見守らないといけないので大変ですが、最終的には、民主税調の藤井裕久会長の発言に注目してます。相続増税どうなるのかな。

1人当たり 5,000 円以下の飲食費の勘違い

 平成 18 年4月1日以後開始する事業年度等から、交際費等から1人当たり 5,000 円以下の飲食費を除外できるようになりました。
しかし、勘違いが多く調査時にトラブルになることがありますのでご注意ください。

1.制度のポイント

(1)外部関係者を交えないいわゆる社内飲食費は除かれます。会社の役員若しくは従業員だけの飲食代は対象外です。

(2)この場合の1人5,000円以下の金額とは、対象となる費用を参加者の人数で除して計算した金額をいいます。

(3)次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
  ① 年月日 
  ② 参加した得意先、仕入先等の氏名等
  ③ 参加した者の数
  ④ その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地
  ⑤ その他参考となるべき事項

 2.よく間違うケース

知人から話を聞くと勘違いをしているケースがあります。

(1)5,000円を超えると経費とならないという思いこみ 
「一人当たり5000円以下でないと経費にならないと勘違いして、実際は7000円なのに領収書は5000円と書いてもらっている。もちろん差額の2000円は個人負担です。」という社長がいました。
取引先などへの接待であれば一人当たり5000円を超えても交際費となり経費となります。
ただし、10%相当額が、税務上の経費(損金といいます)にならないだけです。
また、中小企業の上限である年間600万円を超える金額は損金となりません。

①実際は7000円負担したのに5000円の領収書しかもらわず、5000円のみ経費として交際費の対象外となった場合
    5000円は税務上、損金となります。
②実際負担した7000円の領収書で、交際費として計上した場合
    7000円×(100%-10%)=6300円 は税務上、損金となります。(700円が損金にならないだけ) 

  → したがって、無理矢理5000円以下の領収書をもらって、残りは自己負担することはありません。
  ただし、年間の交際費が600万円を超えた場合には、7000円は損金となりません。  
 

(2)カード精算で書類保存を忘れていた 
 
「現金決済の場合には、一人当たり5000円以下の明細書を保存していたが、カード精算のときは保存していなかった。」という社長かいました。
  → 
もちろん、カード精算で領収書をもらっていませんが、保存すべき書類は同じです。

(3)税込みか税抜きか
「5,000円という金額は税込み金額ですか、それとも税抜き金額ですか?」という質問もよくあります。実はその会社の経理方法によって違います。
  ①税抜経理の場合
 消費税抜きで5,000円まで、つまり5,250円(本体価格5,000円×1.05)が限度額となります

  ②税込経理の場合
  先ほどの、5,250円では、対象外となります。消費税抜きで4,761円(5,000円÷1.05)までが限度額となります。

  → したがって、税抜経理を採用する方が有利ということです。

参考 「交際費等(飲食費)に関するQ&A 平成 18 年5月 国税庁」

震災関連の寄附金・義援金について

  3月11日(金)に発生しました「東北地方太平洋沖地震」におきまして犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げるとともに、被害を受けられました皆様に心よりお見舞い申し上げます。
私も、学生時代の友人や税理士の安否を確認しているところです。
大変多くの方々が甚大な被害を受けていることから、まずは支援物資の搬送が優先ですが、落ち着いたら寄付金・義援金での支援が求められています。すでに、さまざまな団体が義援金を募っています。
ただし、それらの寄付金・義援金は、内容について税務上の取り扱いが異なりますのでご注意ください。
色分けをすること事態はばかれますが、税務の取り扱いについて15日財務省HP・国税庁HPで公表されましたので紹介します。
まずは、寄付金についてです。
1.平成23年東北地方太平洋沖地震等に係る指定寄附金の指定について

今般の平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震に関し、中央共同募金会が募集するNPO法人や民間ボランティア団体等向けの寄附金を、「指定寄附金」に指定する旨の告示を行います(3月15日付)。
  寄附金募集の詳細については、厚生労働省又は中央共同募金会のホームページ等を御参照ください。

また、義援金については、

2.募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについて

○個人又は法人が、災害に際して、募金団体に義援金等を寄附する場合でも、その義援金等が最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであることを税務署が確認できれば、「国等に対する寄附金」として、税制上の特典を受けることができます。
○災害に際して寄附する場合、税務署での確認手続きも緩和されています。
  具体的には、その義援金等が最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであることが新聞報道、募金要綱、募金趣意書等で明らかにされており、そのことが税務署において確認されたときには、その義援金等は「国等に対する寄附金」に該当するものとして取り扱われます。
(参考)国等に対する寄附金又は災害義援金等に関する確認事務について(事務運営指針)
○義援金等を募集する募金団体にあっては、募集する義援金等が国等に対する寄附金に該当するかどうかについて、最寄りの税務署にお尋ね下さい。
 (注1)日本赤十字社、報道機関等に対する義援金等(地方公共団体に拠出されるもの)は、特段の確認手続きを要することなく、「国等に対する寄附金」に該当します。

このように、上記1または2に該当する寄付金・義援金は次の税制上の優遇措置を受けられます。

 ①個人が支出する寄附金:寄附金控除(所得金額の40%又は寄附金の額のいずれか少ない方の金額から2千円を控除した金額を所得から控除する。)の対象となる。
 ②法人が支出する寄附金:全額が損金算入の対象となる。

復興対策税の検討もされているそうですが、それならば結果として税金を払うよりも、自ら進んで寄付金・義援金を送った方が良さそうです。
ただし、上記以外の特定の個人や、業界団体の会員に対する寄付金・義援金は、税制の特典がないので注意してください。

サラリーマンの還付申告はいつまで遡れるのか

 確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税が還付されます。この申告のことを還付申告といいます。
先日次の相談がありました。

Q、サラリーマンですが、机を整理していたら平成18年の医療費の領収書が大量に出てきたが、今からでも還付申告できますか

 A.確定申告する義務がないサラリーマンであればできます。

(1)確定申告の義務がない人(いわゆるサラリーマン)は5年
 確定申告書を提出する義務のない方の還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間の期間内に提出することができます。5年間行使しないときは時効によって消滅します。
 したがって、あなたの場合、平成18年分の医療費控除の適用を受ける申告は、平成19年1月1日から5年間、すなわち平成23年12月31日までの期間内であれば還付のための申告書を提出することができます。
その他、以下の内容でも還付申告できます。
  ・医療費の領収書が出てきた(毎年の限度額があります)
  ・社会保険料(国民年金、)が控除から漏れていた
  ・生活費を送っていた両親の扶養が漏れていた
  ・離婚したのに寡婦控除受けてなかった

(2)確定申告する義務がある人(個人事業主、貸家の大家)は1年
納める税金が多すぎた場合は「更正の請求書」を税務署長に提出します。この更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から1年以内です。
更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正をして税金を還付することになります。
したがって、確定申告書を提出してしまっている方は、5年間もさかのぼることはできません。
 また、更正の請求は「申告書に記載した課税標準等、税額等の計算が『国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと』又は『当該計算に誤りがあったこと』により、納付すべき税額が過大であるとき」にすることができます(国税通則法23条1項)。とあるので、上記(1)の例示ような、扶養親族の所属の変更による税額等の減少は、更正の請求の事由には該当しません。

お年寄りを扶養している場合の障害者控除~障害者控除認定書~

前回に引き続き、今回は障害者のうち、寝たきりではないのですがが、お年寄りの場合に該当する可能性があるかもし

Q.高齢の親を扶養していますが、寝たきりでは無いのですが、障害者控除を受けられるのですか?

A.障害者手帳を持っていない65歳以上の人でも障害者に準ずる人は、障害者控除が適用されます。

前回の障害者の定義によれば、
①~⑥ 略
⑦上記①から⑥までに掲げる者のほか、精神または身体に障害のある年令65歳以上の者で、その障害の程度が上記またはに掲げる者に準ずるものとして福祉事務所の長の認定を受けている者

とあります。

そこで、障害者手帳の交付がなく、⑥の寝たきりではない場合には、に該当するか調べましょう。

(1)介護保険法の介護認定とは関係ありません
「市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人」 とは、精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が①または③に掲げる人に準ずる人などとされ、介護保険法の介護認定を受けた人については、規定していません。

(2)市町村の認定によって対象となる
したがって、介護保険法の要介護認定の有無にかかわらず市町村長等の認定を受けた場合には、障害者控除の対象となります。(所法2、所令10)

(3)手続き
 

①各市町村窓口にて「認定申請書」を提出
②認定審査(発行までどのくらかは窓口にてお聞きください)
③各市町村から「障害者控除認定書」を発行
④税務署に添付して確定申告する

なお、各市町村によって基準が異るようですし、介護の認定があっても障害者認定を受けられない場合もありますので、ご注意ください。
下記の窓口でお問い合わせください。

参考:障害者控除認定窓口   大分市 別府市


お年寄りを扶養している場合の障害者控除~寝たきり~

22年分所得税確定申告期限までいよいよあと15日となりました。 当事務所でも、最後の追い込みをしています。この確定申告期間中に、納税者方から質問があったことを整理しました。

Q.障害者手帳はないが高齢の親を扶養している場合は、障害者控除を受けられるのですか?

A.下記の場合には受けられます。
(1)障害者控除とは、居住者、その控除対象配偶者または扶養親族が、障害者である場合には、その居住者のその年分の総所得金額等から、その障害者1人につき27万円(特別障害者の場合には40万円)を控除する制度です。
(2)障害者とは、心神喪失の常況にある者、失明者その他の精神または身体に障害がある者で、次のいずれかに該当する者をいうとされています。
①精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者または児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターもしくは精神保健指定医の判定により知的障害者とされた者
②①に掲げる者のほか、精神保健及び精神障害者福祉の法律の規定により精神障害者福祉手帳の交付を受けている者 
③身体障害者福祉法第15条第4項の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている者
④上記①および③に掲げる者のほか、戦傷病者特別援護法第4条の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている者
⑤上記③および④に掲げる者のほか、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律第11条第1項の規定による厚生大臣の認定を受けている者 
⑥上記①から⑤までに掲げる者のほか、常に就床を要し、複雑な介護を要する者 
⑦上記①から⑥までに掲げる者のほか、精神または身体に障害のある年令65歳以上の者で、その障害の程度が上記①または③に掲げる者に準ずるものとして福祉事務所の長の認定を受けている者

このうち、障害者手帳の交付がなければ、⑥と⑦について該当するか調べましょう。
今日は、⑥について説明します。

(3)「常に就床を要し、複雑な介護を要する者」とは、その年12月31日の現況において、引き続き6月以上にわたり身体の障害により就床を要し、介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる者をいいます。(所基通2-39)。この原因が長期の傷病による場合はもちろん、老衰による場合もこれに該当することとなり、特別障害者となります。

この場合には、市町村の証明は必要が無く、確定申告書に所定の記入をすればいいです。