着眼大局 蔵前達郎コラム

社長が恐れるもの

 小泉純一郎元総理大臣の主席秘書官を勤めた、飯島勲さんの記事(雑誌「プレジデント」2012 1.2号「リーダーの掟」)を紹介します。
長野県駒ヶ根にある東証一部上場の企業のトイレに、次のような掲示があったそうです。

『社長が恐れるもの』として、『危機感のない社員』とある。その下には、
「毎日が倒産に向かう力との闘いだ。
厳しい時代こそ、勇気をもって闘った企業だけが強くなれる。
90年かけて築き上げた会社の余力は1年でゼロになる。」 

そして、飯島氏は「夜の11時を終業時間の夕方の5時と思って働くくらいの気合いが必要だ。」と述べている。
これは、リーダーやリーダーを目指す人へのアドバイスです。

ところで、全体の労働時間もずいぶん短くなっています。
ちなみに、OECDの労働時間の各国比較をみると、日米が逆転してアメリカの方が労働時間が長くなっています。
また、欧州では、時短から反転に転じている国も多いそうです。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3100.html

だらだらとする残業はすべきではなく、集中して生産性を上げなければなりませんが、社会経済生産性本部が2004年の労働生産性の国際比較によると、日本の労働生産性は、OECD加盟30カ国中第19位と、とくにホワイトカラーの生産性が低くなっていました。
そういった低い生産性のまま、時短で労働時間が短くなっていれば、日本から活力がなくなっているのも頷けます。

[ 昔 ]   労働生産性低い × 労働時間長い ・・・・ →
[ 今 ]   労働生産性低い × 労働時間短い ・・・・ ↓
[これから] 労働生産性高い × 労働時間短い ・・・・ →

、「危機感のある社員」を育て、生活の安定した雇用を守るためには、多少忙しく働いて、一人あたりの売上高(生産性)を高めなければなりません。

「金融円滑化法」再延長

 中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)が、平成25(2013)年3月末まで延長されることになりました。
 今年3月末に、1年間延長されたので、再延長となります。、
 円滑化法は、中小企業向けの貸し付け条件変更などに柔軟に応じるよう促していて、この2年間で、貸付条件の変更などの実行率が9割を超え定着したが、一方で、貸付条件の再変更などが増加していました。それに加え、東日本大震災や円高などにより、中小企業の資金繰り環境が厳しいことに配慮して、今回再延長されることになり、来年の通常国会に同法改正案を提出する見込みです。
 しかし、金融機関側からは、条件変更を何度も繰り返す企業があるなど借り手のモラルハザード(倫理の欠如)につながるとの指摘もあり、今回の再延長を最後に、制度を平成25(2013)年3月末で打ち切る方針です。

■当初の予定では、来年3月末までで打ち切られる予定でしたので、その後の影響を心配していましたが、1年間再延長となり、少しほっとしました。
しかし、今回は、出口(返済開始)戦略を進め、ソフトランディング(軟着陸)を図っていくために延長されたのであるので、中小企業者自身の積極的な経営改善等への取組みが求められています。具体的には、「経営改善計画書(実抜計画)」の見直しと、計画と実績の検討がより厳しくチェックされるでしょう。

相続税増税先送り

10日の3党(民主、自民、公明)税調会長会談で、未成立の平成23年度税制改正法案について協議し、相続税増税などを平成24年度税制改正以降に先送りすることで一致しました。

平成23年度税制改正法案では、
○法人税の実効税率5%引き下げ
○23歳以上の成年を扶養する納税者の所得税を軽減する成年扶養控除や、給与所得控除の縮小
○二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて石油石炭税の課税を強化する地球温暖化対策税の創設
○最高税率の引き上げや基礎控除縮小を実施する相続税増税

などの増減税が盛り込まれていました。

したがって、「つなぎ法案」では、相続税増税を平成24年1月1日から適用としていましたが、これがいったん無くなり来年以降再度検討されることになりました。
しかし、復興税制の関係もあり、相続税増税は避けられないので、今のうちに相続対策をいたしましょう。

なお、大分みらい信用金庫さんでは、相続対策をテーマとした、企業向けと個人向けの相続セミナーを開催いたします。どうぞ、ふるってご参加ください。

http://www.oitamirai.co.jp/news/2011110901.html

(1) 企業向け 「知っておくと得をする!将来の事業承継に向けた進め方」

(2)個人向け 「知っておくと得をする!事前準備段階からの相続工程表」

太陽光発電は、即時償却(初年度100%償却)できる

今年度の税制改正は、3月末の「つなぎ法案」と6月末に2回改正があり複雑になっています。

下記の対象設備を取得した事業者は、取得価額の30%特別償却又は7%税額控除(中小企業のみ)の措置を受けることができます。

「エネ革税制」(エネルギー需給構造改革推進投資促進税制)で、当初23年3月31日までの期限でしたが、東日本震災による「つなぎ法案」として、いったん平成23年6月末日まで延長されていました。
http://www.enecho-shoeneho.jp/release/H22enekakuqa.pdf

②平成23年6月30日、「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」が公布・施行され、「エネ革税制」が平成24年3月31日まで再延長されました。

③また、「グリーン投資減税」平成23年6月30日から平成26年3月31日までの期限で創設されました。

④当初「グリーン投資減税」は、本来「エネ革税制」に代わるものでしたか、結局、来年24年3月31日までは同時並行して適用されます。

⑤「グリーン投資減税」と「エネ革税制」の両方の対象となっている設備を取得した事業者は、当該設備についていずれかを選択できます

「エネ革税制」と「グリーン投資減税」について
http://www.enecho.meti.go.jp/enekakugreen.htm
資源エネルギー庁 総合政策課調査広報室


ところで、気になるのが「太陽光発電設備」です。

太陽光発電設備については、「エネ革税制」により、次のいずれかが選択により認められます。

(1)税額控除(中小企業者等のみ)・・・・取得価額の7%相当額の税額控除

(2)特別償却・・・・普通償却に加えて取得価額の30%相当額を限度とした特別償却。

※さらに、21年度改正により21年4月1日から23年3月31日までの取得等をした設備については初年度に即時償却が可能となっていましたが、23年6月の改正法により24年3月31日まで延長となりました。

※① 太陽光発電設備とは、太陽光エネルギーを直接電気に変換するもので、これと同時に設置する専用の架台、集光装置、追尾装置、蓄電装置、制御装置、直交変換装置又は系統連系用保護装置を含みます。

※② 事業所の他、賃貸マンションでも適用できます。

※③「中小企業者等」とは、大企業の子会社等を除く資本金1億円以下の法人又は資本・出資を有しない法人のうち従業員数が1,000人以下の法人。個人事業者においては従業員数が1,000人以下のもの。

※④「事業の用に供する」とは、当該対象設備の購入者が本来の用途、用法に従い、現実に使用を開始したことを指します。


期限が平成24年3月31日まですので、ご注意ください。
また、設備にあたっては、事前に税理士にご相談ください。

ひと手間とサービスは違う

 長いデフレ経済で、とことんまで単価が下がってしまい、働いても利益が出ない状況で、
先々の心配から、売上を追いかける傾向にあります。
 昨晩は、昔、ある会で執行部をしていた仲間と久しぶりにあいました。
そのうち一人が、独立した際に、大先輩の社長から


「いいかい、仕事をしたら、その仕事で終わらせず、ひと手間かけなさい」

とアドバイスをもらったそうです。

ひと手間とは、ちょっとした手間、ちょっとした工夫や作業、などという意味で使われる表現です。

雨の日に、新聞がビニールに入って配達されると、れしいですよね。
外食しても、この旬の食材について、ちょっと説明されると、おいしさが広がります。
修繕でも、依頼された箇所だけでなく、その周りも点検してくれるとたすかります。

我々であれば、毎月の試算表や決算書のポイントにラインマーカーを引くとか、
部門別損益ができるように、取引先別に売上高が把握できるようにシステムを変更していくことですか。

「ひと手間」は、ちょっとしたことですが、効果が絶大です。
また、一言言葉を添えないと伝わらないところでもあります、ただし、説明がくどいと逆効果ですが・・・。

常に、どうしたら喜んでもらえるのかを考えていたら、「ひと手間」も負担にはならず、お客様が望んでいることが見えてきます。
「ひと手間」はサービスとはちよつとと違います。

サービスは、本来、対価をいただけるのにもらわない場合をいい、
ひと手間は、職人のこだわりをいう

・・・なにか日本人らしいです。

一燈照隅 万燈照国

先週末は、TKC九州会の定期総会が、鹿児島の城山ホテルで開催されました。

その懇親会で、鹿児島実業高校書道部のすばらしい書道パフォーマンスで大いに盛り上がりました。

そこで、女子学生20名ほどで、

「一燈照隅 万燈照国」(いっとうしょうぐう ばんとうしょうこく)

と力強い文字が描かれました。









この、「一燈照隅 万燈照国」は、安岡正篤氏の言葉だそうです。

要するに、少数の真剣な求道者のみが時勢の運命を徹見(てっけん)し、社会を善導することができるのである。
同士諸君の精進を万祷(とう)します。

能(よ)く一隅(いちぐう)を
照す者にして始めて、
能く照衆・照国することもできるのである。

微力(びりょく)をあきらめてはならぬ。

冷に耐え、苦に耐え、煩(はん)に耐え、
また閑にも耐えて、激せず、躁(さわ)がず、
競(きそ)わず、随わず、自強してゆこう。

一つの灯火を掲げて一隅を照らす。
そうした誠心誠意の歩みを続けると、いつか必ず共鳴する人が現れてくる。

一灯は二灯となり三灯となり、いつしか万灯となって国をほのかに照らすようになる。
だからまず自分から始めなければいけない。

という意味だそうです。

国難のいまこそ、正しい価値観で経営することによって、雇用を守り人材を育て、黒字化で適正納税に
導くことも一隅を照らすことだと確信しました。

先ほどのパフォーマンスは続き、やがて舞台が暗くなると、蛍光塗料の文字が鮮やかに浮かび上がるではありませんか。
まるで、 「一燈照隅 万燈照国」そのもので、

感動しました。

元気をもらいました。


敬天愛人

今日は、西郷 隆盛の命日です。
134年前の、明治10
年(1877年)9月24日に、49歳で、鹿児島の城山にて自害しました。
先日の鹿児島での会議の後、事務所の辻君と、新幹線の待ち時間を利用して、ラーメンののぼる屋と西郷さんのお墓参りをしてきました。






西郷南洲顕彰館で、県指定文化財書跡「敬天愛人(けいてんあいじん)」の複製品を買いました。

この「敬天愛人」とは、西郷隆盛が好んでよく使い、揮毫した言葉で、「天を敬(うやま)い、人を愛する」と読みます。
その書跡についていた説明文に、その意は、
南洲翁遺訓

第二十一条 
道は天地自然の道なるゆえ、講学の道は敬天愛人を目的とし、身を修するに克己を以もって終始しせよ。
第二十四条
道は天地自然の物にして、人は之を行うものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も、同一に愛し給ふゆえ、我を愛する心を以って人を愛する也。

とある。・・・・
内村鑑三が「代表的日本人」で、西郷の敬天愛人の思想は、キリスト教に極めて近い位置にあると述べています。
西郷の敬天愛人は、儒教の仁愛、仏教の慈悲、キリスト教の愛を統合した普遍の価値として認識する必要がある。実践にあたっては日本人的心情「誠(真心)を尽くす」ことを求められた。

そうか、儒教の影響だけでなかったんだ!と新発見をしました。

どうなる復興増税案~中高所得層は増税 法人税は実質減税~

野田佳彦首相は16日、東日本大震災からの復興財源に充てる臨時増税について、期間10年、所得税・個人住民税を軸に検討するように政府税制調査会に指示しました。首相の意向は消費増税は社会保障目的に温存法人税は予定していた減税を3年間、圧縮する方向のようです。

■増税期間10年
所得税と法人税の増税期間を10年とする案で、中高所得層ほど負担は重くなる。一方、法人税は税率を引き下げたうえで臨時増税分を上乗せするが、実質減税となる見通しです。

■所得税10年で約100万円増税も
所得税の負担は、所得税額に付加税率をかけて計算します。増税案では、所得税額の5.5%が負担増分となる。
夫婦と子ども2人の標準世帯での増税額は

○年収500万円で考えると、年間4300円、10年で4万3円。単身世帯は年8800円、10年で8万8千円とやや負担が重くなります。
○年収700万円だと年約1万1000円、10年で約11万円。
○年収1500万円世帯の負担は年9万7千円強、10年で約97万円となります。

世帯収入が増えるにつれて負担額は累進的に重くなる構造です。

■法人税は実質減税
法人税は、実効税率を40.69%からいったん35.64%に下げた後、再び38.01%に上げる。改正前より税率は下がるため、企業にとって実質減税となる。

これを踏まえ来週から民主党税制調査会(藤井裕久会長)は増税規模や時期などの議論を始め、並行して野党との協議に入る。9月中の与野党合意を目指すようです。

2つの税制調査会

 野田政権になって、復興増税案が、内閣総理大臣の諮問機関である政府税制調査会(以下「政府税調」)から発表されたとたんに、民主党税制調査会(以下「民主税調」)がちょっと待って!といっている報道がありました。我が国は、2つの税制調査会があり、わかりづらいですよね。

 もともと、自由民主党政権時代は政府・与党の中に2つの税制調査会があり、まず政府税調が大枠の方針を決め、最も大切な税率などの数字は、自民党税調が決定していたので、「党高政低」といわれていました。

そして、鳩山内閣誕生後、政府と与党の税制調査会を廃止し、新たに政治家をメンバーとする政府税制調査会を設置して一元化されました。しかし、今回の野田内閣では民主党税制調査会が復活したのです。

政府税調は、財務省が事務方にいるので、政府として現実味のある税制改正案を提案します。それに対して、民主税調は、党の意向も反映させるべき案を要求してきます。
早速ですが、

「民主党税制調査会の藤井裕久会長は18日、東日本大震災からの復興財源に充てる臨時増税について、政府税制調査会がまとめた増税案の税目以外も検討する考えを示した。2011年度税制改正で積み残しになっている相続税増税や地球温暖化対策税などを財源に充てる案について、都内で記者団に「党税調は政府に対するチェック機関だ。あり得る」と述べた。」(日本経済新聞)

とありました。
2つの税制調査会を、見守らないといけないので大変ですが、最終的には、民主税調の藤井裕久会長の発言に注目してます。相続増税どうなるのかな。

1人当たり 5,000 円以下の飲食費の勘違い

 平成 18 年4月1日以後開始する事業年度等から、交際費等から1人当たり 5,000 円以下の飲食費を除外できるようになりました。
しかし、勘違いが多く調査時にトラブルになることがありますのでご注意ください。

1.制度のポイント

(1)外部関係者を交えないいわゆる社内飲食費は除かれます。会社の役員若しくは従業員だけの飲食代は対象外です。

(2)この場合の1人5,000円以下の金額とは、対象となる費用を参加者の人数で除して計算した金額をいいます。

(3)次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
  ① 年月日 
  ② 参加した得意先、仕入先等の氏名等
  ③ 参加した者の数
  ④ その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地
  ⑤ その他参考となるべき事項

 2.よく間違うケース

知人から話を聞くと勘違いをしているケースがあります。

(1)5,000円を超えると経費とならないという思いこみ 
「一人当たり5000円以下でないと経費にならないと勘違いして、実際は7000円なのに領収書は5000円と書いてもらっている。もちろん差額の2000円は個人負担です。」という社長がいました。
取引先などへの接待であれば一人当たり5000円を超えても交際費となり経費となります。
ただし、10%相当額が、税務上の経費(損金といいます)にならないだけです。
また、中小企業の上限である年間600万円を超える金額は損金となりません。

①実際は7000円負担したのに5000円の領収書しかもらわず、5000円のみ経費として交際費の対象外となった場合
    5000円は税務上、損金となります。
②実際負担した7000円の領収書で、交際費として計上した場合
    7000円×(100%-10%)=6300円 は税務上、損金となります。(700円が損金にならないだけ) 

  → したがって、無理矢理5000円以下の領収書をもらって、残りは自己負担することはありません。
  ただし、年間の交際費が600万円を超えた場合には、7000円は損金となりません。  
 

(2)カード精算で書類保存を忘れていた 
 
「現金決済の場合には、一人当たり5000円以下の明細書を保存していたが、カード精算のときは保存していなかった。」という社長かいました。
  → 
もちろん、カード精算で領収書をもらっていませんが、保存すべき書類は同じです。

(3)税込みか税抜きか
「5,000円という金額は税込み金額ですか、それとも税抜き金額ですか?」という質問もよくあります。実はその会社の経理方法によって違います。
  ①税抜経理の場合
 消費税抜きで5,000円まで、つまり5,250円(本体価格5,000円×1.05)が限度額となります

  ②税込経理の場合
  先ほどの、5,250円では、対象外となります。消費税抜きで4,761円(5,000円÷1.05)までが限度額となります。

  → したがって、税抜経理を採用する方が有利ということです。

参考 「交際費等(飲食費)に関するQ&A 平成 18 年5月 国税庁」